カレイなる日々

華麗な加齢を目指していますが?。最近は残りの時間があまり多くはない親とのかかわりを中心に書いています。

誰か故郷を想わざる


昭和30年代に、両親はアパートから団地に引越しました




駅名になるような団地群




建て替えの話が出た時、すでに私は実家の団地を出ていました。

それからまもなく両親も引越しました。


どこの街でも、少しずつ少しずつ、古い建物が取り壊され、新しい建物が建っていきます。

数十年も経てば、風景が一変しているのは珍しいことではありません。

少し違うのは、もともとの街と建造物の特性から

ひと区画ずつ、ごっそり更地にしていきます。

更地が広大で、なんというかいちいち〝喪失感〟を感じるのでした。



それでも私が生まれ育った区画は、駅から奥の方で

建て替えの話が出てからも二十年ほど変わらずありました。

ただ、私が暮らしていた頃と違和感を感じたのは

建物の老朽化はもちろんですが

芝生や草木の手入れがなされていないためか鬱蒼とした雰囲気

住む人が少なくなり、夜ともなると、一棟の団地の窓に一部屋しか灯が灯っていなかったりという風景でした。


昨年の夏に、とうとう無人となった区画を歩いてみました。

建物が変わらずそこにあって、しかし、誰もいない、というのは

異様な雰囲気でした。

防犯上も危険ではありますが

それとはまた違う意味で…なんと言えば良いのか…

たくさんの蝉の鳴き声が区画一帯に響き渡って山の中のようでした。






後日、また、行ってみようか、と足を向けたら

そしてとうとう、私の生まれ育った一画にも、立ち入り禁止のフェンスが張られていました。




何十年がかりの予定通りの事象でもショックでした。


思わずアタマに浮かんだ言葉が、タイトルです。

高齢者は電話に出たい?

実家のある地域は、オレオレ詐欺の被害がワースト番付に入っているらしいです。


しかし、母を見ていて思いました。


「高齢者の人は、電話に出たいのではないか」と。



最近は、詐欺の他にも物騒な事件もあるので


固定電話やインターホンには出ないでね、と伝えているのですが


(着信履歴で折り返し連絡が可能だし、宅配便であっても対応可能、とにかく出ないと困るということはないのです)


とにかく出てしまいます。


ちなみに、認知症はありません。


もちろん、昔の人なので、失礼をしてはいけないということもあるのでしょう。




ふと


多少、憶測でもありますが


電話が鳴るということや


インターホンが鳴るということが


何かを期待させるのではないかと、

母を見ていて思いました。



詐欺の根底には、期待もあるというではありませんか。


母は「そろそろ一周忌だから、〇〇さんから何か届いたかと思って」と言ったり


インターホンのカメラに映る宅配員さんが、花束を持って来たように見えたと言ったりします。



80代の、あまり思うように動けなくなった日常で

何を感じるのか、私にはわかりません。


ですが、電話が鳴ったり、インターホンが鳴るということは

日常をささやかに蹴破って、ワクワクするものかもしれない、と

無意識に期待してしまうのではないでしょうか?


だとしたら、


電話やインターホンが鳴らないように設定するしかないのですが


そこまでするのもなあと


思うこの頃です。

ガスコンロ買い替えました

なにしろ母は戦前生まれ、育ちということもあり

物は基本的に捨てません。


ガスコンロも18年間、頑張りました。

老夫婦二人暮しでしたから、そんなに使わなかったこともあります。




ただ、着火が怪しくなってきて修理するにも、部品がすでに無くなっている時点で

私は心配はしていました。

やっぱり、火を扱う物のことなので。

けれど、うっかりそうした話をするだけで

「おまえは、すぐ買いたがる!」

とすごい剣幕で怒るので

右側は使わないように…とか変な気を使う羽目になっていました。


高齢者のお宅はえてして

モヤモヤしながら、暮らすもの…と言っても過言ではありません。


けれど、あるニュースを観て

母から

そろそろ買い替えようという話になりました。

そのニュース、厳密にはガスとかコンロは関係なかったのですが…

実の子供の意見より

テレビニュースの方が説得力があるわけですね😅



今のコンロは、タイマーがセットできたり

熱センサーで空焚きを防いでくれるとか

便利でありがたいですが

人間のカンが鈍っちゃうのでは❓

と心配するあたり、私も昭和な人間でしょうか…